マツエクをオールオフ、またはリペアで部分オフするときに欠かせないのが、リムーバー(リムーブ剤)です。グルーを溶かしてマツエクを取り外すという特性上、程度の差はありますが、まつげにダメージを与えることが知られています。今回は、リムーバーを使うことでまつげがどのように痛むのか、また、そのダメージを最小限に抑えるために知っておきたい、リムーバーの適切な使い方などをご紹介します。
まずはリムーバーがまつげに与えるダメージについて、基本的な知識をおさらいしておきましょう。
「マツエクをするとまつげが傷むの?」と心配しているお客様は少なくありませんよね。しかし実際は、マツエクそれ自体よりも、マツエクをオフするときに使うリムーバーが、まつげダメージの主な原因のひとつになっていると言われています。
リムーバーは有機溶剤の一種で、「アセトン」(別名:ジメチルケトン、2-プロパノン)など、ほかの物質を溶かす作用を持つ、刺激の強い化学物質が含まれています。リムーバーをマツエクに塗布すると、アセトンなどの作用で硬化したグルーが溶け、まつげからマツエクをオフできます。しかし、これらの化学物質は揮発性が高く、グルーを溶かす過程でまつげの水分を奪ってしまうという負の側面も。これが、まつげダメージの原因になっていると言われています。
リムーバーで傷んだまつげは、パッと見ただけではあまり分かりません。しかし、日々お客様のまつげと向き合っているアイリストにとっては、身近な問題ですよね。ダメージを受けたまつげとはどのような状態なのか、その特徴をまとめてみました。
先ほど触れたように、リムーバーに含まれているアセトンなどの化学物質は、揮発性が高い物質です。そのためまつげの水分を奪ってしまいやすく、表面が乾燥しがち。グルーはまつげの水分に反応して硬化するため、水分が不足していると硬化までに時間がかかり、施術時間が長引いてしまいます。
健康的なまつげは、キューティクル(表面を覆っているウロコ状の組織)がきれいに閉じていて、ツヤやコシがあります。しかし、リムーバーによって表面が乾燥するとキューティクルが開いてしまい、表面がささくれた状態に。ツヤが失われてパサつき、マツエクのモチが悪くなります。
施術中に、お客様のまつげが途中でパツンと切れてしまった経験はないでしょうか?リムーバーに限らず、さまざまなダメージを受けたまつげは、構造がもろくなり、ちょっとしたきっかけで切れ毛になりやすくなります。
リムーバーによるまつげのダメージの度合いは、使用するリムーバーの種類や、お客様のまつげの状態によっても変わってきます。具体的に見てみましょう。
リムーバーには、リキッド・ジェル・クリームの3タイプがあります。一般的に粘度の低いリキッドやジェルタイプはグルーに浸透しやすく、クリームタイプのような粘度の高いものは浸透に時間がかかります。リペアの部分オフにはリキッドやジェル、オールオフには液ダレしにくいクリーム、といったように、使い分けているアイリストも多いのではないでしょうか?実は、これら3つのタイプは粘度が異なるだけで、ほぼ同じ成分が使われています。そのため、基本的にどのタイプを使っても、まつげへのダメージの度合いはほぼ変わりません。ただ最近は、まつげへのダメージを軽減できる、ノンアセトンタイプのリムーバーを採用しているサロンも増えてきています。
同じリムーバーを使っていても、まつげが傷むお客様と、比較的ダメージが少ないお客様もいますよね。これは、自まつげの状態によって受けるダメージの度合いが異なるためです。
頻繁にリペアやオフを繰り返しているお客様は、当然ながらリムーバーによるダメージで傷んだ状態が長く続きます。傷んだまつげはキューティクルが開き、外からの刺激を受けやすい無防備な状態。健康的なまつげと比較するとダメージが蓄積されやすく、さらに傷みやすくなるという悪循環におちいります。
まつげの傷みが気になるお客様には、マツエクを装着するサイクルの見直しを提案したり、まつげ美容液をおすすめしたりするなど、まつげケアの方法をアドバイスすると良いでしょう。
これまでご紹介してきたように、リムーバーによるダメージは、マツエクを続ける限りある程度避けられません。しかしリムーバーを適切に使い、使用頻度をなるべく少なくすることで、まつげへのダメージを最小限にできます。ここからは、リムーバーを使うときに心がけておきたいポイントをご紹介します。
マツエクの装着からオフまでの周期は、人によって異なりますが、「3~4週間に一度のリペア」そして「3カ月に一度のオールオフ」が理想的と言われています。オフの頻度が多いと、それだけまつげに負担がかかる機会が増えるため、なるべく使う頻度を少なくするようにしましょう。
先ほどご紹介した、ノンアセトンタイプのリムーバーを使うのも、まつげへのダメージ軽減には効果的です。ただし、低刺激とはいえ、まつげへのダメージがゼロになるわけではありません。適切なタイミングで正しく使うことを心がけましょう。
まつげの毛質や毛周期は、お客様によって異なります。お客様の毛周期に合わせてオフしないと、生えかけの未熟なまつげにまでダメージが及んでしまうことに。成長期にダメージを受けたまつげは、途中で抜けたり切れたりしてしまいやすくなります。お客様のまつげの状態や毛周期をしっかりとチェックして、一人一人にベストなリムーバーのタイミングを提案しましょう。
マツエクは、健康的な自まつげがあってこそ楽しめるアイメイクです。なるべくお客様のまつげへのダメージを最小限にできるように、まつげの状態や毛質に応じたオフの頻度やリムーバーの種類などを工夫していきましょう!
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