「デザインが決まってないんです」「雰囲気を変えたいような気もするし…どうしようかな?」、このように、なかなかデザインを決めきれないお客様、いらっしゃいますよね。今回は、悩まれているお客様への効率的なデザイン提案を考えていきましょう。お客様に「そうだ、これでいいんだ!」「試してみよう!」と感じていただけるようなご提案方法とは、どのようなものなのでしょうか?
マツエクサロンに来店されるお客様というのは、明確にデザインを決めている方は少ないです。なぜなら、マツエクというのは、使用するエクステの種類から仕上がりを想像するのが難しい技術。専門知識を持たないお客様にとっては、どの長さ、カール、太さのエクステを、何本つけたら自分の理想のイメージに近づくのか、見当がつかないという方も多いでしょう。
そのため、お客様からは、
「可愛い雰囲気で…」
「目を大きく見せたいです」
「アイリストさんにお任せします」
といった、曖昧な要望を言われることが多くなるのです。
このような要望の難しいところは、人によって言葉からイメージするものが異なり、答えがひとつに決まらないということ。例えば、「可愛い」というイメージは、アイリストによっても、お客様によっても異なります。アイリストが要望に応えたつもりでも、お客様にとっては「全くイメージしていたのと違う…」ということにもなりかねません。
お客様の中ですら曖昧な状態の「理想のイメージ」、どのように明確化し、共有化していけばいいのでしょうか?
今回のテーマは、「悩まれているお客様とのスピーディなデザインの決め方」。
限られたカウンセリング時間の中で、お客様のニーズにできるだけ寄り添うデザインにするためには、ヒアリングを効率化する必要があるでしょう。
そもそも、デザイン決めに時間がかかる原因は、
① マツエクに慣れていないなどの理由から、お客様が優柔不断になりやすい
② アイリストが提案を明確化できていない
といったことが挙げられます。
それぞれ、対応策について解説しましょう。
優柔不断になりやすいお客様は、カウンセリングが進むにつれて「早く決めないと…」という焦りを感じる方も多いです。このような心境では、冷静な判断ができなくなることも。アイリストができることは、お客様に安心してデザインを考えてもらえるようにすること。順序に沿って、お客様の中にあるモヤモヤとした不安を取り除いてあげましょう。
そのためには、
1. どの部分に引っかかりを感じるかをお聞きする
2. お客様が引っかかっている部分を解消できるデザインをいくつか提示する(選択肢の絞り込み)
3. 選択肢の中からデザインを決定
といった流れで進めてみましょう。
優柔不断な方に決めてもらいやすくするためのコツは、「判断基準を設定する」ということです。先ほどの流れで言えば、最初の「引っかかりを感じる部分を聞き出す」といったステップがそれに当たります。”引っかかり”というのは、物事を判断するうえではひとつのボーダーラインになる重要なポイント。つまり、「最低限、この部分さえ解消されていればOK」となるラインのことを指します。判断基準が明確になれば、思考回路はぐっとシンプルなものになり、決めやすくなることでしょう。
お客様が「これ!」と思うデザインに辿りつけたとき、アイリストは「きっと似合いますよ!」と背中を押してあげることも大切。その一言があるだけで、お客様は安心して施術を受けてくれることでしょう。
また、お客様のタイプを見極めながら、提案方法を変えるというのも大切なこと。
アイリストの提案が明確化できていないというのも、お客様を混乱させてしまう原因のひとつ。提案するデザインがなかなか頭に浮かばないと悩むアイリストは、その方の悩み、なりたいイメージを深く聞き出せていないのかもしれません。聞き出そうとしてもあまり意見が出てこない方の場合は、”NG”を聞き出してみましょう。それが、その方の中にある判断基準を設定することにもつながります。
お客様にアイリスト側から提案する際のポイントは、デザインをパターン化しすぎないということ。「可愛い雰囲気が好き」という要望に対して、「可愛い系=強めのカール」というように型にはめて考えすぎると、提案の幅を狭めてしまうことになります。先ほどもお伝えしたように、言葉からイメージするものは人によって違いますよね。「可愛い雰囲気」という言葉から、「セクシーな可愛さ」を連想する人もいれば、「お人形のような可愛さ」を連想する人もいます。
例えば、「ナチュラルに見せたい」というお客様に「では、8mmの長さで装着しましょう」という提案はあまりおすすめできません。そうではなく、「自まつげくらいのイメージが良いですか?」「真ん中を少し伸ばして縦幅を伸ばすのも似合いそうですが、いかがでしょうか?」といったように、“ナチュラル”といった言葉の意味をさまざまな質問から探っていくことも必要です。言葉だけではお互いのイメージしたものにギャップも生まれやすくなるため、画像を見ながらすり合わせすることも大切ですね。さまざまなデザインとその方の目元の特徴を見ながら、柔軟な発想を心掛けるようにしましょう。
デザイン決めで悩まれているお客様とのカウンセリングでは、アイリストの”聞き出す力”が試されます。”聞き出す力”とは、相手の話に対して、
といったスキルのこと。この力は、何も意識せずに身につくものではありません。どのようにして伸ばしていけばいいのでしょうか?
ここからは、日ごろの業務の中で簡単に実践できるポイントをご紹介しましょう。
話しやすい環境を作るためには、相づちはとても重要。ずっと黙って話を聞いているというアイリストはまずいないと思いますが、「相づち」が苦手という方はいるかもしれませんね。一言で相づちと言っても、さまざまなものがあります。「はい」や「ええ」などの一般的な相づちだけでは、相手に単調だと思われてしまうことも。ところどころに、「なるほど」「それは困りますよね」「いいですね」など、共感や感動を表すような相づちを交えてあげるようにすると、お客様は気持ちよく会話をすることができます。相づちをしながら、適度なうなずきや表情も心掛けるとよりいいでしょう。
オウム返しは、会話の基本中の基本。聞き上手なアイリストは無意識のうちにできている方も多いでしょう。中には「不自然になりそう」と苦手意識を持つ方もいますが、お客様に安心いただくためにはかなり効果的な方法です。オウム返しの練習方法は、大事なキーワードの部分を繰り返すようにするということ。この訓練を意識的に行うことで、お客様に安心感を与えられるだけでなく、話の要点を絞り込む力も身につくようになります。
みなさんは、単調に質問だけを繰り返すような会話はしていませんか?
お客様の会話のワードだけを拾って、浅い会話になっていませんか?
ヒアリングでお客様の要望を聞き出すのに時間がかかるというアイリストは、普段から”なんとなく”会話をしている可能性が高いです。深く話が聞けるようになれば、その分カウンセリングもスピーディにできるようになるはず。お客様との大事なカウンセリングを充実させるためにも、アイリストの”聞き出す力”のステップアップは必要不可欠でしょう。
“聞き出す力”というのは、言い換えれば”相手に話させる力”とも言います。これは、アイリストにとっては、かなり重要なスキルですよね。会話というのは”なんとなく”でも成立してしまうもの。しかし、スキルによって、聞き出せる情報量にかなり差異が生まれる、奥が深いものでもあります。デザイン決めに悩まれているお客様から効率的に情報を引き出し、明確で最適な提案をするためには、日ごろから”聞き出す力”を養っておくことが大切。普段から、深い会話ができるように、意識をするようにしましょう。
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